[活動紹介] 事例紹介

第十二回「日中韓文化交流フォーラム」
<実施期間:2016年11月16日(水)~19日(土)>

  • 1. 全体会議
    2016年11月17日(水)
  • 2. 会場
    日本・広島市 ANAクラウンプラザホテル広島
  • 3. テーマ
    「日中韓の食文化と国際交流」
  • 4. 出席者
    [日本]
    委員長 :小倉 和夫(国際交流基金顧問)
    委 員 :宮廻 正明(文化財保護・芸術研究助成財団理事長)
    :小宮 浩(文化財保護・芸術研究助成財団専務理事)
    事務局 :大海渡 憲夫(国際交流基金参与)
    :丸山 純一(文化財保護・芸術研究助成財団事務局長) 
    :村木 茂(文化財保護・芸術研究助成財団事務局次長)
    :早瀬 智則(国際交流基金日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム長)
    :石巻 綾乃(国際交流基金日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム職員)
    :大内 洸太(国際交流基金日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム職員)
    講演者 :北岡 三千男(日本料理喜多丘 店主)
    [中国]
    委員長 :李 小林(中国人民対外友好協会会長)
    委員 :袁 敏道(中日友好協会副秘書長)
    :栾 宇滔(中国人民対外友好協会アジア・アフリカ部副主任)
    事務局 :張 振興(中日友好協会友好交流部部長)
    :周 笑丹(中国人民対外友好協会アジア・アフリカ部職員)
    :李 博寰(中日友好協会政治交流部職員)
    講演者 :万 建中(北京師範大学文学院教授)
    [韓国]
    委員長 :鄭 求宗(韓日文化交流会議 委員長)
    委員 :孔 魯明(前駐日大使、前外交通商部長官)
    :權 丙鉉(韓中文化青少年協会長、「未来の森」代表、前駐中大使)
    :李 元泰(韓中友好協会 副會長 、錦湖アシアナグループ副会長)
    事務局 :李 康民(韓日文化交流会議 事務局長、漢陽大学教授)
    :徐 鉉宰(韓中友好協会事務局長)
    :徐 泰姫(韓日文化交流会議事務局職員)
    講演者 :韓 福眞(全州大学校韓食調理科教授)
  • 5. 討論内容
    (1)各国委員長代表発言要旨

    [日本・小倉和夫委員長]
    今回、日中韓文化交流フォーラムを発足させた故平山郁夫先生の郷里である広島で本フォーラムを開催できることは感慨深いものがある。現代では、食文化、ファッション、ゲーム等生活文化を通じた三カ国の文化交流は盛んである。なかでも、食を通じた相互理解は、平和の精神の基となる。

    [中国・李小林委員長]
    中国のことわざに「民は食を持って天となす」ということわざがある。食は、三カ国に共通して魅力のあるテーマである。

    [韓国・鄭求宗委員長]
    漢字文化を共有している韓中日三カ国は、食においても米文化を共有している。箸も三カ国の文明の利器である。それらは、東アジアの文化の同一性を示すものである。

  • (2)各国講師発言要旨

    [日本・小倉委員長]

    日本の食文化は、
    ①自然食の素材を不必要に傷めない。片刃包丁はその一例である。
    ②発酵食品が多い。
    ③視覚に訴える。外食の店先に飾られているロウ細工は日本独特なものである。
    ④音感。麺等をわざわざ音をたてて食べ、食欲をそそる。
    ⑤嗅覚に訴える。
    ⑥触覚でも味わう。箸に伝わる感覚を楽しむ。
    ⑦繊細な味覚。甘味、酸味、塩味、苦味、旨味を駆使するが、とりわけ、和食はカロリーを低くしたまま旨味を出すことに特徴がある。 
    ⑧季節感を大事にする。
    という特徴を有する。
    「食」の国際交流の意義は、①新しい食材②新しい使用方法③他国の生活習慣を理解する④民族の独自性を大切にすることによって食の多様性を維持する等である。そういう意味では、現在、フランス料理が日本料理の要素や材料を取り入れているが、そのような商業的な手法が広まるとフランス料理の特徴が薄れ、アイデンティティーを失いかねないという危惧はある。

    [日本・北岡三千男氏]

    広島は、瀬戸内海の自然に育まれた食材に恵まれている。かきは、江戸時代には養殖が始まり、現在、日本一の生産量を誇っている。かんきつ類の生産も盛んでレモンについても日本一の産地である。
    「和食」が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたが、和食で重要なのは「出汁」すなわち「旨味」である。昆布とかつおを大量に使うが、「出汁」は、油脂の少ない日本人の食生活から生まれたもので、肥満や老化を防ぐ。出汁の要素は、「旨味」「香り」「濃く」である。日本料理には、出汁が欠かせない。出汁を使わないのは、さしみと焼き魚くらいである。
    ※以後、「出汁」の作りを実演し、出席者に提供。

    [中国・万 建中氏]

    中国の飲食文化の魅力は、東アジアの食文化の魅力とほぼ重なる。西洋料理は理性を特徴と し、栄養に基づいて料理を作るが味に調和を欠く。一方、東洋料理は美を重要視し、色、香り、味を大切にする。料理が互いに補いあうのが中国料理のこだわりであり、調和は東洋料理の要である。
    中国は野菜の種類が豊富で、野菜が日常の料理で肉や魚は正月ぐらいにしかしか食べない。
    仏教の精進料理の影響もある。一方、西洋は、狩りや養殖が中心で加工食品が多く、缶詰やフォーストフードが発達した。食の目的が西洋ではお腹を満たすことであり、東洋では味わうことである。その結果、西洋では栄養学が発達し、東洋では味が追求されたのである。

    [韓国・韓 福眞氏]

    韓国では野菜を食べる量が多い。「五味五色」の食文化があり、五味とは、「辛味、甘味、塩味、酸味、苦味」、五色とは、「赤、青(緑)、白、黒、黄」のことで、五つの料理に二つの汁物それに必ずキムチが付く。汁物が多いのでスプーンを使う。キムチは100種類以上有り、家には5種類以上のキムチを貯蔵している。発酵熟成したキムチは健康食品であり、ユネスコ無形文化遺産に登録された。
    また、テレビドラマ「チャングムの誓い」で韓国料理が世界に広まり、K-ドラマ、K-ポップに続きK-フードということで、国家として韓国宮中料理を世界に広めようとしている。

  • (3)自由発言

    [中国・李委員長]

    原爆被爆者である故平山郁夫先生の故郷広島で行うフォーラム開催の意義は大きい。来年は、日中国交正常化45周年であり、文化交流により力を入れるとともに、新しい交流の契機としたい。
    「食」は感動を与えやすいテーマである。料理は国境を越え言葉はいらない。料理の素材をたくさん発掘することは意義がある。
    食文化、音楽、演劇の交流は世界平和に寄与する。これまで「朱鷺」をテーマにした舞台公演が日中各地で57回開催され、12万人の観客を集めた。更に多くの日本人に鑑賞してもらいたい。

    [韓国・孔委員]

    韓国の宮中料理は味が薄い。砂糖が非常に貴重だった。「からし」は豊臣軍が朝鮮にもたらしたという伝説があり、李睟光の「芝峰類説」(1614年)では「和がらし」と言っているが、日本では「唐がらし」と言っており、外国から入ってきたことになっている。
    味噌、醤油は日中韓三国共通の調味料であるが、「しょう」という言葉は、三国志にある魏の時代の高句麗では発酵食品として既に存在していた。醤油の元は醤(じゃん)で中国から伝来。サツマイモは、1673年の朝鮮通信使が帰国時に対馬で入手したものである。対馬ではサツマイモのことを孝行芋(こうこういも)と呼び、これが朝鮮に渡りなまって「コグマ」となった。

    [韓国・李委員]

    旅先では一番美味しいものを食べたくなるものである。青少年交流では韓国食文化を体験してもらう。食は交流拡大のツールである。

    [中国・袁委員]

    ビビンバやキムチは中国でも人気がある。日本料理は「日料」と呼ばれ本場の日本料理とは違うが人気がある。日本、韓国とは様々な分野での交流を期待する。

  • (4)まとめ

    [日本・小倉委員長]

    平山郁夫先生が創られた日中韓文化交流フォーラムの志がこれまで引き継がれ、今回広島で行われた。文化交流を通じた三カ国間の相互理解が大切であり、協力関係を推進する観点から、これからもフォーラムを三カ国で継続して実施することが重要である。

  • 6. 文化交流イベント
    日中韓三カ国の共通歌「わたしは未来」および中国・韓国の唱歌披露
    合 唱 :安田女子中学校合唱部および安田女子高等学校音楽部
    指 揮 :岡村 要  (安田女子中学・高等学校教諭)
     〃  :吉野谷 直子(安田女子中学・高等学校教諭)
    ピアノ :恩田 絵美 (エリザベト音楽大学非常勤講師)
    <プロデューサー/ディレクター>
    伴谷 晃二 (作曲家・エリザベト音楽大学名誉教授)
      於 :ANAクラウンプラザホテル広島 22F「ルミエール」
    日 時 :11月16日(水)午後5時00分~5時30分
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