財団の活動事例

敦煌・莫高窟の保存


敦煌莫高窟

 敦煌・鳴沙山の一画に千数百年前から幾世紀にもわたって供養のための造営が続いた莫高窟は、現存するもので492窟あり、内部には塑像2千体余、壁画総面積4万5千平方メートルにも及び、1987年ユネスコ世界遺産にも登録されています。

 1979年、初めて現地を訪れた故平山前理事長は、日中共同での壁画保護事業の必要性を痛感しました。日中双方の政府や関係機関と話し、1980年代前半には、東京芸術大学の学術調査団を派遣し壁画の調査を行い、敦煌研究院からは研究者を日本の研究機関に招くなど共同事業への足がかりを築きました。

 1987年の日中文化交流政府間協議で協力事業推進がきまり、翌1988年、この事業の推進拠点として、文化財保護振興財団(現:文化財保護・芸術研究助成財団)が設立されました。当時の竹下総理が現地を訪れ、ODA文化無償協力で、敦煌石窟保存のための展示研究センター施設がその後完成しました。
 2000年には、ハイテクの分析装置が財団より研究院に贈られ、石窟文化財保護事業の技術的機能も高まってきました。2002年からは、第53窟壁画の保存修復に関する日中共同研究が4年間にわたり実施されました。2006年からは、日本及び中国敦煌莫高窟壁画の保存に関わる若手研究者育成の共同研究とトレーニングを実施しております。財団では今後も、人材育成事業や研究施設の充実等、他の機関とともに協力をしていきたいと思っております。

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