文化財赤十字活動について

 日本文化のルーツと言うべきシルクロード周辺を主とした地域にある数多くの文化遺産は、人間の知恵と想像力のすばらしさ、歴史の移り変わりのすさまじさを物語っています。しかし、同時に、守られなければいけないこの貴重な遺産が自然破壊や人的崩壊の危機に瀕していたり、紛争や盗掘の犠牲になるなど、悲劇的な状況におかれています。
 文化遺産というものは、ただ単に古くに作られた建造物や美術品というだけではなく、歴史の生きた証人であり、人類全体が守るべき貴重な遺産です。私たちは、国や地域を越えてもっとグローバルな視点から世界で協力し、これらを残し後世に伝えていく努力をしなければなりません。その気持ちが「文化財赤十字構想」の原点となっており、財団はこの「文化財赤十字構想」の理念に基づいて活動しています。
 今、日本はどのような国際貢献をするべきかが問われています。文化財赤十字運動は、日本が「平和を守る平和国家」となるために大きく役立つでしょう。文化遺産の保護や文化財保存修復のために技術協力や経済協力をすることで、それぞれの国や民族、宗教の固有文化への相互理解も深まります。さらに、在外の日本の古美術品の保存修復にみんなで協力すれば、これまでよく見えないと言われがちだった日本人や日本文化の質を国際的に理解していただける良い機会になると思います。

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