[活動紹介] 事例紹介

第十一回「日中韓文化交流フォーラム」

  • 1. 全体会議
    2015年11月18日(水)
  • 2. 会場
    中国・温州市 温州シャングリラホテル および 温州市人民大会堂
  • 3. テーマ
    「伝統と革新  中日韓ファッション文化産業発展と協力」
  • 4. 出席者
    [日本]
    委員長 :小倉 和夫(国際交流基金顧問)
    委 員 :小宮 浩(文化財保護・芸術研究助成財団専務理事)
    :吉川 竹二(国際交流基金北京日本文化センター所長)
    事務局 :大海渡 憲夫(国際交流基金参与)
    :村木 茂(文化財保護・芸術研究助成財団事務局次長)
    :石巻 綾乃(国際交流基金日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム職員)
    講演者 :上原 利丸(東京藝術大学美術学部工芸科 准教授)
    オブザーバー :前川 智映(駐上海日本国領事)
    [中国]
    委員長 :陳 昊蘇(前中国人民対外友好協会会長)
    委員 :王 秀雲(中国人民対外友好協会日本部主任)
    :袁 敏道(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部主任)
    事務局 :付 博(中日友好協会友好交流部職員)
    :洪 磊(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部職員)
    :周 笑丹(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部職員)
    講演者 :周 剣石(清華大学美術学院 准教授)
    [韓国]
    委員長 :鄭 求宗(韓日文化交流会議 委員長)
    委員 :孔 魯明(前駐日大使、前外交通商部長官)
    :權 丙鉉(韓中文化青少年協会長、「未来の森」代表、前駐中大使)
    :李 元泰(韓中友好協会 副會長 、錦湖アシアナグループ副会長)
    事務局 :李 康民(韓日文化交流会議 事務局長、漢陽大学教授)
    :徐 鉉宰(韓中友好協会事務局長)
    :徐 泰姫(韓日文化交流会議事務局職員)
    講演者 :李 允慶(韓國文化觀光硏究院 文化産業硏究室 室長)
  • 5. 討論内容

    会場:温州シャングリラホテル

    (1)各国委員長代表発言要旨

    [日本・小倉和夫委員長]
    ファッションは、(1)政治的次元(身分や職業等)(2)経済的次元(既製服の出現、装身具のブランド化)(3)社会的次元(ユニセックス化、「kawaii」という表現)(4)文化的次元(欧州は自己表現の手段、日本はファッションに安心感ややすらぎを求める)という四つの次元で捉えることができる。
    相互の交流にファションについて議論したり、ファッション・ショーを行うことは重要である。

    [韓国・鄭求宗委員長]
    「伝統」と「イノベーション」すなわち、ファッションには、伝統に重きを置きながら新しいものを見つける意義が備わっている。東洋のファッションは西洋でも競争力がある。三カ国で協力して競争力のある新しいブランドを確立することは共通の目標となる。
    「韓流」ブームがファッションに好影響をもたらしている。

    [中国・王 秀雲委員]
    今回は「伝統と革新」というテーマであるが、中国の民族衣装は紀元三世紀に遡ることができる。隋・唐の時代に原型が形作られ、日本の江戸時代に完成した。韓国の民族衣装は、中国の原型の民族衣装を基に500年後に確立したものである。
    今では「北京ファッション・ウィーク」で活躍した中国の服飾デザイナーが「東京ファッション・ショー」で頭角を現してきている。ファッション(流行)については、服飾のみでなく、音楽や建築の分野でも中日韓で交流が行われ反響を呼んでいる。

  • (2)各国委員発言要旨

    [日本・小宮 浩委員]

    人類が動物の毛皮を纏ったのが衣類の第一歩で、その後、繊維が発明され、染織が始まり、20世紀の画期的なナイロンを始めとする合成繊維の発明で、服地へのプリントが容易になり、革命的な色使いの素晴らしい服装となった。
    今後50年以内に日・中・韓の宇宙飛行士は月面さらには火星へも足を踏み入れることになるだろう。そうすればそれに適応した軽くて丈夫な放射線にも耐えるような宇宙服が必要になるが、そのような宇宙服はまだ発明されていない。そんな服を三カ国で共同開発すれば想像以上のデザインが創り出され人類発展の力になるのではないだろうか。

    [韓国・李康民氏(權丙鉉委員代読)]

    従来から西洋文化よりも東洋文化の方が伝統を重んじてきた。 近代の西洋文明の台頭で、我々は東洋文化を置き去りにしてきたのではないだろうか?現在、東アジアは経済的には復興がなされたが、文化の復興はなされているのだろうか?環境の悪化、経済成長も鈍化している中で、東アジアの伝統文化を礎に、互いに競い合うことで新しい文明を造りだすことができる。東洋文明には「共存」の理念があり、西洋文明を拒絶するのではなく自由に受け入れた上で、新たな文化を創造していくことが肝要であろう。

    [韓国・李元泰委員]

    三カ国は、独自に服装を発明してきたが、それらが次第に西洋化されてきた。創意、デザインレベルではまだ西洋に伍しているとは言えない。伝統文化を基に新しい文化的価値を見い出していく必要があろう。日本はマーケティング力、中国は物流力、韓国はデザイン力で共に協力し合えば、東アジアのファッションの発展に役立つであろう。

  • (3)ゲスト・スピーチ要旨

    会場:温州市人民大会堂

    [日本・上原利丸氏(東京藝術大学美術学部工芸科 准教授)]
    「日本の着物の特徴」について(1)一枚の生地を無駄なく利用する(2)再使用、リサイクルの精神(3)友禅の模様に代表される意匠のアート性という観点から、カラー画像を用いて、解説がなされた。

    [韓国・李允慶氏(韓國文化觀光硏究院 文化産業硏究室 室長)]
    「韓国におけるファッション産業」をテーマに(1)韓国ファッション産業の現状に(2)韓国のファッション産業の政策についての分析という観点から所見が述べられた。特に、アジアが欧米ブランドのOEMからいかに脱却するかという点を命題に、東アジア三カ国で、デザインのデータ・ベースを共有し、宣伝や展示を展開するなどして、欧米中心からアジアに目が向けられるように協力関係を構築することが必要ではないかとの考えが述べられた。

    [中国・周 剣石氏(清華大学美術学院 准教授)]
    「中国ファッション産業とグリーン・エコ」というタイトルで、「漆」をテーマに、以下の主旨でスピーチが行われた。

    • (1)漆文化の発祥は長江で、これまでに8000年の歴史がある。それが、東方へは朝鮮半島を経由して日本に、西方にはウクライナまで伝わった。
    • (2)現在、中国政府は「エコ文明の建設」をスローガンに、ライフ・スタイルのエコ化が推進されようとしている。
    • (3)漆文化は世界に通用する無形文化であり、漆を用いた作品の製造は古くて新しい産業である。漆は長い年月を持ちこたえる耐久性があり、実用品や天然素材として首飾り等の装身具への使用にも適している。
    • (4)漆は持続可能な地球資源である。中・日・韓は、それぞれ独自の漆文化を持っており、三カ国の力を併せれば漆をもっと+世界に広めることができよう。
  • 6. 文化交流イベント
    • (1)「中日書画展」
      会場:温州市博物館
      日時:11月18日(水)午後4時45分~5時30分
    • (2)「中日韓文化交流の夕べ」
      会場:温州大劇院
      日時:11月18日(水)午後7時30分~9時
      日中韓三カ国語で「温州外国語学校学生合唱団」による『わたしは未来』(夢枕獏作詞・松下功作曲)が披露された他、三カ国の演奏者等による、各国の伝統芸能の実演や舞台ショーが繰り広げられた。
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