第十回「日中韓文化交流フォーラム」
1. 全体会議 2014年10月8日(水) 2. 会場 韓国・釜山広域市 ウェスティン 朝鮮 釜山ホテル 3. テーマ 「日中韓映画制作の現況及び相互協力」 - 4. 出席者
[日本] 委員長 :小倉和夫(国際交流基金顧問) 委 員 :宮田亮平(文化財保護・芸術研究助成財団理事長) 〃 :小宮 浩(文化財保護・芸術研究助成財団専務理事) 事務局 :大海渡憲夫(国際交流基金参与) 〃 :村木 茂(文化財保護・芸術研究助成財団事務局次長) 〃 :宮崎 彩(国際交流基金日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム職員) 講演者 :堀越謙三(東京藝術大学名誉教授・特別教授) オブザーバー :松井貞夫(駐釜山日本国総領事) 〃 :佐藤 勝(駐韓日本大使館 公報文化院長) 〃 :小島寛之(国際交流基金ソウル日本文化センター所長) [韓国] 委員長 :鄭 求宗(韓日文化交流会議 委員長、東西大碩座教授) 委員 :孔 魯明(前駐日大使、前外交通商部長官) 〃 :權 丙鉉(韓中文化青少年協会「未来の森」代表、前駐中大使) 〃 :李 元泰(韓中友好協会 副會長 、錦湖アシアナグループ顧問) 事務局 :李 康民(韓日文化交流会議 事務局長、漢陽大学教授) 〃 :徐 鉉宰(韓中友好協会事務局長) 〃 :徐 泰姫(韓日文化交流会議事務局職員) 講演者 :金 亨駿(映画製作者、前韓国映画製作者協会会長) オブザーバー :李 和眞(韓中日協力事務局社会文化部長) 〃 :梁 秀瑛(韓中日協力事務局社会文化部研究員) [中国] 委員長 :陳 昊蘇(前中国人民対外友好協会会長) 委員 :憑 佐庫(中国人民対外友好協会副会長、中韓友好協会常務副会長) 〃 :王 秀雲(中国人民対外友好協会日本部主任) 〃 :袁 敏道(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部主任) 事務局 :袁 敏道(中国人民対外友好協会アジア-アフリカ部主任) 〃 :程 海波(中国人民対外友好協会日本部処長) 〃 :周 笑丹(中国人民対外友好協会アジア-アフリカ部職員) -
5. 討論内容
(1)各国委員長代表発言要旨[韓国・鄭委員長]
日中韓三カ国の和解を通じて新しい「東アジアの時代」を構築すべきであり、そのことが東アジアの安定に寄与することになる。[中国・陳昊蘇委員長]
日中韓文化交流フォーラムは、第10回を迎えることになったが、これは、これまでの三カ国の相互理解と努力の賜である。「木を10年育てれば、100年の森に成長する」という中国の諺があるとおり、今後、当フォーラムがますます発展していくことを願っている。[日本・小倉和夫委員長]
三カ国の交流を深めるには、広く一般市民が参加することが望ましい。現在、中国各地で「ふれあい広場」という形で、日中の交流が進んでいるが、今後も、さらに広げて行くことが望ましい。
今回のテーマ「映画」は、国民一般になじみやすく、三カ国の共演や共作が可能であるが、その際、以下の点を意識しておく必要がある。
① テーマが時代や社会を反映したものであること。
② 共同制作の過程においては、あらかじめ相手国の習慣や文化を理解しておくこと。
③ 国によって観客層に違いがあること。
④ 映倫や検閲・上映制限・知的財産の保護等の問題が存在すること。 - (2)各国委員発言要旨
[日本側]
- ・東京藝術大学では、日・中・韓三カ国それぞれ4人の学生でチームを組み、4本のアニメ作品を制作した実績があるが、このことを通じて、三カ国の若者の間で強い友情が生まれた。
また、映画とは別に「障害とアート」をテーマに、演劇や音楽等の分野において三カ国で交流を行っており、これの推進役を果たすことができればと思う。 - ・日中韓三カ国の共通の文化に「陶芸」がある。三カ国で作成する陶磁器に絵画や詩等を寄せ書きしてはどうか。陶磁器であれば1,000年、2,000年もの間、残りつづける。
[中国側]
- ・1992年以降、中国と韓国の交流が強化されてきた。今年は、6月~8月に北京他6都市で短編映画祭を実施した。また、韓国企業の支援を受けて障害者支援活動や青少年交流を行っている。
- ・大学生、公務員、学校の先生、ボランティア等総勢1,600名の青年を日本へ短期間のホームステイを実施。三カ国中学・高校生の書道大会、中央音楽院生の東京藝術大学への派遣、100名の日本人学生の中国の大学訪問等を実施した。
- ・三カ国になじみのある「三国志」について、歴史的人物にスポットをあてた映画を共同制作できるのではないだろうか。共同で企画を作ることが重要である。
[韓国側]
- ・北東アジアの青年交流に力を尽くしており、今年、日本の青年や大学生を招待する計画があったものの、(韓日間の政治関係から)実現できなかった。来年は、必ず実施したい。 また、地球温暖化を阻止するための大学生による植林活動を中国といっしょに行っているが、日本からも参加を期待したい。
- ・2003年から「アシアナ国際短編映画祭」を行っており、これまで全世界から約2万編の出品があり、この内100編を2004年以降、アシアナ航空の機内で上演してきた。また、2011年からは、「京都府フィルムフェスティバル」に協力しており、映画を公募し、日中韓文化交流フォーラムとして賞を創設してはどうか提案をしたい。
- ・韓国では、1998年に日本の大衆文化の開放を始めたが、相互に文化の理解を進めるには、若い世代を対象に活動の展開を図る必要がある。
- ・東京藝術大学では、日・中・韓三カ国それぞれ4人の学生でチームを組み、4本のアニメ作品を制作した実績があるが、このことを通じて、三カ国の若者の間で強い友情が生まれた。
- (3)各国映画関係者発言要旨
[中国・黄丹氏]
中国での映画産業は、自由競争下にある。昨年の最大ヒット作は「西遊記」。政府の文化産業プロジェクトが有り、中国合作映画であれば、政府からの支援が期待できる。テーマを探索・開発し、観客の要望に合わせた映画作りを行うことが重要である。[日本・堀越謙三氏]
情報量の多さが映画の強みである。「韓流」に火が付いたのは「冬のソナタ」がきっかけである。主役の男優は、日本人よりも人気となり、それが、音楽等他の文化にも広がった。たった一人の映画スターの人気は国境を越え、それは、スポーツ選手にも匹敵するものであった。外国に対する理解を深めさせる力は、映画スターの方がスポーツ選手より上である。
映画の中核となるのは「物語」である。東京藝術大学で、中韓の留学生と日本人学生が共同で短編映画を作っているが、「物語」を作る上で三カ国の学生間での違和感は生じない。
韓国によって既に「アジア映画アカデミー」が発足。各国の映像プロフェッショナルに窓口を開放しており、職能別に人間関係を構築することができる。「芸術的作品」を自国だけで制作できる国はどこにもない。フランスですら、EU各国の参加無しには制作できない。日中韓三ケ国が共同で映画を制作する仕組みができれば、素晴らしいことだ。中韓の間では、すでに映画制作の協定が結ばれている。100%中国のみで作っても、あるいは、逆でもそのような共同制作映画への助成が可能になることが望ましい。才能のある監督が自由に制作できるようにすることが重要である。
そのように日中韓の映画共同制作のために基金を作るなどの力をいただけたら有り難い。[韓国・金亨駿氏]
アジア地域では昨年、111億ドルの興行収入があった。日中韓三カ国とも、上映する映画の60%以上が自国の映画であるが、これは世界的には珍しく、米国を除けば50%以上が自国映画というのはインド以外にはない。
今年の釜山国際映画祭では、中国映画「真夜中の五分前」が上映されているが、監督、男優が日本人の中日合作映画。今後、合作でMade in Asiaの映画を作って行きたい。 6. 文化交流イベント 釜山市内にて、下記の交流イベントが行われた。
(1)日時:2014年10月8日(火)午後2時半~5時
(2)会場:「映画の殿堂」小劇場
(3)演目:- ①東菜鶴の舞(ドンレハクチュム)-独舞 李惺薫(イ・ソンフン)[釜山伝統文化協会所属]
- ②子供たちによる三カ国の歌(「わたしは未来」)合唱-ホヨン(浩然)エンジェルス合唱団
- ③日中韓の短編映画の上映
-中国:CHAN CHAN (2010年作、24分)
-日本:KOYUKI’s Wandering Football (旅するボール、2013年作、17分)
-韓国:When The Moon is On The Wane (2013年作、24分12秒)
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