財団の活動事例

阪神淡路大震災被災文化財救済事業

薬師寺仁王像のレスキュー
薬師寺仁王像のレスキュー

被災文化財の修復作業(美術院)
被災文化財の修復作業(美術院)

 1995年1月17日、阪神・淡路地区を襲った大震災の災禍は文化財にも未曾有の被害を与え、指定物件だけでも143件、被害総額は100億円以上にも上りました。
 この地震による被害は、全壊した重要文化財・旧神戸居留地15番館、34棟に被害の出た重要伝統的建造物群保存地区・神戸の「異人館街」や、約9割が全・半壊した「灘五郷」の酒造群をはじめ、指定・未指定を問わず建造物に顕著に見られました。
 一方、美術工芸品等の動産文化財は、指定物件に限れば被害件数自体が少なく、また転倒等による比較的軽度の被害が目立ちました。 復旧に向けての取り組みとして、社寺、住宅や博物館等内の文化財や美術品等の廃棄・散逸を防ぐため、我が国初の文化財レスキュー事業が実施されました。未指定物件を中心に、仏像、古文書等16件のレスキューと博物館等への一時保管がなされ、財団ではこの事業に財政支援を行いました。

 被災文化財の早期復旧上の最大の課題である所有者の費用負担については、国指定文化財の補助率が通常より原則20%嵩上げされ、(財)阪神・淡路大震災復興基金により指定文化財等の修理費の所有者負担分が半分助成されるなどの支援措置がとられました。

 財団では、1995年度(平成7年度)の国内助成金の金額を、公的支援のない被災文化財の復旧に充てるとともに、朝日新聞社の協力を得て文化財修復・保存のための救援募金キャンペーンを行い、この寄付金と財団資金を合わせて文化財レスキュー活動基金の拠出、被災文化財修復経費の助成を行いました。

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