財団の活動事例

アンコール遺跡群の保存


東より見る修復工事完了時の北経蔵

バイヨン中央塔群と南経蔵

 9世紀から13世紀にカンボジアのトンレサップ湖畔に栄えたクメール帝国時代の都城跡として知られるアンコール遺跡は、20世紀後半に20年以上続いたカンボジア内戦により荒廃し、1992年(平成4年)にユネスコの世界遺産リストと同時に「危機にさらされている遺跡」としても登録されました。アンコール遺跡の保存修復は急務であり、国際協力での修復が始まりました。
 日本では、上智大学等がアンコール遺跡の保存事業を行っていましたが、1991年(平成3年)4月にアンコール遺跡の救済に民間レベルの協力を確立するため、財界人を中心とした「アンコール遺跡救済委員会」が発足しました。この委員会は、当財団が事務局として協力し活動を行なっていましたが、内閣官房に「アンコール遺跡保存事業連絡協議会」が設立されたのを機会に1998年(平成10年)10月に解散しました。 そして、国際的な文化協力を強化するため、1989年(平成元年)に設置されたユネスコ文化遺産保存日本信託基金により、1994年(平成6年)11月に日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JAS)が結成され、アンコール・トム・バイヨン寺院の北経蔵の保存修復事業が開始されました。

 現在、財団では、日本国政府アンコール遺跡救済チームに対する協力を行っており、アンコール遺跡群の保存計画事業やカンボジア人文化財保存修復専門家育成事業などを支援しています。
 なお、国際的な支援と現地の人たちの努力により、2004年(平成16年)、ユネスコの「危機にさらされている遺産」リストからアンコール遺跡群は除外されました。

※日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA)が修復工事をした主な遺跡(2010年現在)
・バイヨン北経蔵(1999年9月竣工)
・アンコール・ワット北経蔵(2005年4月竣工)
・プラサート・スープラN1塔(2005年4月竣工)
・バイヨン南経蔵(現在進行形中)
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