[活動紹介] 事例紹介

第九回「日中韓文化交流フォーラム」

  • 1. 日時
    2013年11月15日(金)
  • 2. 会場
    日本・新潟 ANAクラウンプラザホテル新潟
  • 3. テーマ
    「地域文化の振興と国際交流の促進」
  • 4. 出席者
    [日本]
    委員長 :小倉 和夫(国際交流基金顧問)
    委 員 :宮田 亮平(文化財保護・芸術研究助成財団理事長、東京藝術大学学長)
    :大海渡憲夫(国際交流基金参与)
    :小宮 浩 (文化財保護・芸術研究助成財団専務理事)
    事務局 :本田 修 (国際交流基金文化事業部長)
    :清水 順一(   〃  日本研究・知的交流部長)
    :早瀬 智則(   〃  日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム長)
    :前川 智映(   〃  日本研究・知的交流部アジア・大洋州チーム主任)
    :湯浅 芳雄(文化財保護・芸術研究助成財団事務局長)
    :村木 茂 (       〃      事務局次長)
    [中国]
    委員長 :劉 徳有(中日友好協会理事)
    委員 :馮 佐庫(中国人民対外友好協会副会長、中国韓国友好協会常務副会長)
    :王 秀雲(中日友好協会副会長)
    :袁 敏道(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部主任)
    事務局 :程 海波(中日友好協会友好交流部部長)
    :付 博 (   〃  友好交流部職員)
    :周 笑丹(中国人民対外友好協会アジアアフリカ部職員)
    [韓国]
    委員長 :鄭 求宗(韓日文化交流会議委員長、東西大日本研究センター所長)
    委員 :孔 魯明(前駐日大使、前外交通商部長官)
    :權 丙鉉(韓中文化青少年協会「未来の森」代表、前駐中国大使)
    :李 元泰(韓中友好協会副会長、錦湖アシアナグループ顧問)
    事務局 :李 康民(韓日文化交流会議事務局長、漢陽大教授)
    :徐 鉉宰(韓中友好協会事務局長)
    :趙 有情(韓日文化交流会議事務局職員)
  • 5. 討論内容
    (1)各国委員長代表発言要旨

    [日本:小倉委員長]
    今回のフォーラムは、日中・日韓関係の厳しい時に開くという点で意味がある。三カ国間の良い面を進化・拡大し、悪い面は縮小しコントロールしていくためには、市民交流、知的交流等が必要である。各地域の特色ある文化を基に、国の文化が豊になっている。地方の「文化振興」、経済を含めた「活性化」「国際交流」の三要素が重要である。

    [中国:劉委員長]
    今年9月、中日韓の文化大臣が韓国・光州に集まり、文化交流と協力の計画、東アジアの文化の未来について話し合った。韓国・光州、中国・泉州、日本・横浜が第一回「東アジア文化都市」に決定した。9月25日-28日に韓国・光州で第一回中日韓芸術祭が行われた。三カ国の交流は、東アジアの発展、繁栄、安定、平和に重要な意義を持ち、文化は相互信頼関係を形成する上で、最も重要な精神的な絆。国家同士の関係は、困難な時にこそ大局を重視しなければならない。未来を見つめ文化の領域における対話と交流そして協力を強化しよう。

    [韓国:鄭委員長]
    日本でベストセラーになった二か月後に村上春樹氏の翻訳本が出され韓国でもベストセラーとなった。日本のアニメ「進撃の巨人」が韓国のインターネットのポータル・サイトで1位となり、韓国のテレビでも日本と同じ時間帯で放送することになった。これは同時代的な文化の共有を楽しむ若者の現象。また、ミュージカルや芝居を、三カ国同じ舞台で披露するという共有現象が起きている。作家や俳優や監督など芝居をする沢山の人々がそれぞれの作品を互いに翻訳したり演出したり舞台に上げるという三カ国間の交流活動が盛んになっている。

  • (2)各国委員発言要旨

    [日本側]

    • ・蝋型鋳金の発端は中国で、韓国の流れを汲んで日本の奈良・京都で開花した。その後、佐渡に伝わった。佐渡には、昔から大陸から様々なものが漂着する。日本人の良さというものは、一つの素晴らしい文化を日本人の中で醸成する。そして、たしなみ、恩返しをする。そのような連携がバランスよく取れている。文化とは、文明開化の略語だと思っている。文明が開化した時に新しい時代を造ることが出来る、その途中を略して「文化」と言っていると解釈している。
    • ・地方交流・地域文化振興においては、地域の活性化、文化の保存という具体的な目標を設定することが大切である。実施にあたってとりわけ協調したいのは、国民感情・意識の問題である。開かれた社会というものは国民・市民の感情を十分勘案したものでなければいけない。市民ひとりひとりが様々な国際交流活動に参加することが大事である。そうすれば国民感情が変わり、相互の理解が深まる。地方文化の振興活動はそのために重要である。
    • ・三カ国の大人も子供もみんなで歌える歌をそれぞれの国の作詞で、「わたしは未来」を作成した。
    • ・「わたしは未来」が、次回から三カ国のテーマ・ソングとして歌われると良い。

    [韓国側]

    • ・文化は政治とは別の役割をするというアイデンティティーがある。中日、韓日関係が、おもわしくないが、人的・物的交流には変わりがない。昨年、中日関係が緊張悪化した中でフォーラムが開催された。無錫では反日デモが見られなかったが、対日・対韓関係の結びつきが強い無錫市であったことが要因だ。易しい問題から着手し、難しい問題は後でという知恵が必要。三カ国が協力すればwin-winの関係が生まれる。韓国の学生が日中米に各7万名、中国から韓国に6万名、日本には9万名、米国には23万名留学生がいる。日本の留学生は、中国に1.6万名、米国には2万名、韓国には千名弱居る。韓日550万人、韓中700万人、日中700万人の往来がある。若者が21世紀の東アジアにおける協力の資産になるのは間違いない。話し合い、通じ合うことが何よりも重要。まさに文化交流とは話し合うことであり、デモクラシーのプロセスである。
    • ・東京オリンピックは、三カ国とアジアの力を強める良い機会。過去、三カ国のオリンピックは、東アジアの発展に役立った。2002年からの韓中青少年交流は、色々な交流チャンネルを通じて中国各地から参加し、4~5,000人ほどの青少年交流があった。とりわけ、地球環境問題で三カ国協力していくことは、世界にも貢献する。
    • ・韓中友好協会の事業として、中国の青年代表団を地方の家庭に招いている。また、中国大使も含めて各国の外交官を年一回、地方に招待し、各地域の伝統と文化を理解してもらうプログラムが有る。とりわけ仏教文化、儒教文化は三カ国に共通のもので、そのような文化を背景にした地域毎の特色を紹介する良い機会である。半島国である韓国は、中国の大陸文化と日本の海洋文化が自然に入ってきた。地方の伝統文化に触れてもらうために、地方における三カ国の青少年のホームステイを提案したい。

    [中国側]

    • ・韓国企業からの支援で、障害を持つ青少年の育成、農村の子弟の教育支援プログラムを推進している。また、大学生や青年公務員の交流を2009年から実施している。韓国語スピーチコンテストへは、中国の大学から学生を派遣している。中国国内では、韓国語を学ぶ学生が増えており、韓国語学校が増えている。地域文化交流は、国の文化を構成する重要な部分。今年、中国文化交流部と光州市は、友好交流・人的交流の協定を結び、同地で青少年の文化交流祭を実施した。中国の都市化が進んでいるが、様々な課題を抱えており、韓国から色々と学びたい。
    • ・三年前に文化大国を目指し、様々な対外文化交流を推進している。都市のみでなく地方でも様々な交流が行われている。日本には、毎年、京劇・歌劇・民俗楽器・民俗舞踊、雑技等50-60人程度の芸術団を派遣しており1,700回余の公演で、延べ300万人を動員した。韓国でも三国志演義などを公演しており三カ国の共通の文化として親しみを感じてもらっている。日本の太鼓・三味線・日本舞踊も中国で歓迎されている。スポーツ面では、小中学生が友好都市間で中日混合チームを組んで対戦する卓球交流で、これまで506チーム、延べ2,024名が参加している。中日韓は漢字文化圏であるが、「漢俳」という漢字で作った俳句があり、中日で交流が行われている。「連歌」もある。日中間の関係が困難な時でも、そのような草の根の交流によって、民間から両国政府を動かしていくことができる。文化は漢方薬のようなものだ。日中韓文化交流フォーラムは、それらの交流のための重要なプラットフォームである。
  • (3)各国委員長しめくり要旨

    [中国:劉委員長]
    民間交流そして文化交流に力を入れて、両国国民の相互理解と友情を深めていくことは、両国国民が願っていることで、地域全体の平和との安定に繋がる。積極面を拡大、消極面を縮小し。国民感情の改善に努めて、麗しい未来を勝ち取ろうという考えに賛成する。三カ国国民の福祉増進に新たな貢献をしたい。それによって東アジアの文化の隆盛の時代を築いていきたい。

    [韓国:鄭委員長]
    日韓、日中関係の重要性が確認された。安定と修復にフォーラムが引き続き寄与していくことを期待する。文化で、国境を越えた交流・共有ができる。色々なアイデア、交流プラン等引き続き協議をしていきたい。

    [日本:小倉委員長]
    継続してやって来たことの重要性の認識が共有され、国民レベルの友好関係の増進に役立つだろう。東アジアには時として政治的・外交的摩擦が生じるが、文化交流を継続して相互理解を深めることが重要だと指摘いただいた。地方文化振興と国際交流の関係。今後も事業を発展させていくように望み、ここに三カ国で同意した「新潟宣言」を採択する。

  • 【新潟宣言】
    『第九回日中韓文化交流フォーラムの参加者は、このフォーラムの過去8年にわたる対話と活動を回顧し、こうした対話と活動が今後も継続されることが、東アジアの文化交流、ひいては国民レベルの友好関係の増進に寄与することを、改めて再確認した。とりわけ、東アジアにおいて、ときとして政治的・外交的緊張や摩擦が生じる際に、文化面の交流を継続することによって、相互理解を深めることが重要であることについて認識を共有した。また、地方における文化振興活動において、国際交流が大きな意味を持つことについて意見の一致を見た。この点と関連して、佐渡島を含む地元新潟県を中心に行われている国際的芸術祭や美術展について、今後の更なる発展への希望と期待が、多くの参加者から寄せられた。同じく、中国・韓国の各地方で行われている、地方振興と国際文化交流を組み合わせた事業の今後の発展についても、支持と期待が表明された。次回会合は、2014年の適当な時期に韓国で行うことについて同意された。』
  • 6. 文化交流イベント
    佐渡市にて、下記の交流イベントが行われた。
    (1)日時: 平成25年11月16日(土)午後1時半-2時45分
    (2)会場: 金井能楽堂(佐渡市)
    (3)演目:   
    • ①鬼太鼓
      小倉こども鬼太鼓育成会の児童たちが、38年の歴史を持つ鬼太鼓を披露した。
    • ②能
      佐渡高校郷土芸能部の日野真木さん、金子菜々さん、高野美穂さん、武田彩花さん(コー チ:金子美恵先生・着付け補助:北村俊雄先生)によって、「羽衣」と「舟弁慶」の仕舞が披露された。
    • ③「わたしは未来」
      相川小学校の六年生全員(指導およびピアノ伴奏:石田愛(あ)海(み)先生)が、作曲者で東京藝術大学の松下功教授の指揮の下、合唱を披露した。
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